デフレ時代の終わりで、のぼり旗の価格も上がるの?
少しむずかしい話~。モノの値段が下がり給料も減って、景気がなかなか良くならないデフレの時代、物価上昇と給料のアップを狙って、日銀の黒田総裁がゼロ金利政策をずっとやってきました。
その成果が少しは出てきたのか、最近になって物価は少しずつ上昇しています。たとえばサラリーマンのランチも、かつてはワンコイン(500円)が主流。現在は600~800円前後まで平均価格が伸び、1,200円クラスの昼食を楽しむ人も。
つまり物価が上がって、サラリーマンのサイフの紐が以前よりは緩くなって、カチカチのデフレは少しだけ雪解けしています。春闘で給料のアップもほぼ確実となりました。デフレからインフレへ。日本の経済が上向く兆しが出てきています。
そんな中で、価格変動が顕著なのが「のぼり旗の制作価格」。とくにオリジナルのぼり旗の価格は、デザイン料やトレース代などコミコミで前年度比5%前後の上昇をみせています。この傾向には、先のデフレ脱却の話とつながっているのでしょうか。
デフレ終焉よりずっと大きい影響、「個の時代」の加速
実はのぼり旗の価格上昇はそれだけではなく、もう1つの大きな要因があります。サービス産業分野が、相対的に「個の時代」に突入しているからです。個とは何かというと、個性とか個別の先にあるもの。
「ここでしか受けられない確かなサービスとか品質、安心」を売りにするのぼり旗ショップが、利用者の絶大な人気を獲得しています。
つまり、のぼり旗の制作を依頼するお店や展示会の主催者などが、「ここでしか受けられない魅力的な味やサービス」を打ち出しはじめているのです。「こののぼり旗専門店に頼めば、ウチの特徴をうまく表現してくれる」と。
デフレ終焉よりずっと大きい影響、「個の時代」の加速
のぼり旗専門店の価格が上昇する流れ
■個の時代の流れが加速して、利用客はそこでしか食べられない味やメーカーのサービスを求め、流動しはじめている。
■店や展示会の主催者は、これまでの総合デパートのような出し物ではなく、品数やコンテンツを絞って、レアなものに特化している。
■集客ツールの最前線に立つのぼり旗も、既製品よりもオリジナル。お金はかかっても、特徴を明快に表現してくれる訴求力のある作品に人気が集中。
■デザイン力、サービス力のあるのぼり旗専門店は、制作が追いつかなくなるので、優秀なデザイナー等を急募する。
■のぼり旗専門店は人件費や制作時間の延長で出費がかさんでいくので、仕方なく旗の制作料金を値上げしている。
どこにでもある、“ありきたりの味やサービスで客を呼び込める時代”は、終わりました。それが証拠に、100年以上の歴史をもつ百貨店が、相次いで閉店・廃業しています。デフレが終わると、“良いモノには金を出す時代”がやってきます。
商売の仕方も、“良いモノを提供してたくさん金を出してもらう方向”に切り替えなければ、生き残れなくなっています。その象徴的な出来事が、のぼり旗専門店の旗の価格の上昇です。この先、値下がりに転じることはないでしょう。頼むなら今です。